歯が痛い!これではご飯も満足に食べられず、仕事も勉強も家事も手につきません。歯の痛さに耐えられなくなってから歯医者に駆け込む方も多いです。治療ももちろん大切ですが、何よりも大事なのは「虫歯のメカニズムを知ること」「虫歯にならないように予防すること」なのです。
いくら歯みがきしても、「食べる回数」が多いとダメ!!
1日3度の食事、おやつも大好き。ちょこちょこお菓子をつまんでしまう…でも食べた後は必ず歯みがき。これで虫歯にはならないよね? いいえ、違います。口の中は通常「中性」なのですが、食べ物が入ってくると「酸性」になります。この「酸」がくせものなのです。「酸」は歯を溶かし、虫歯菌が活動しやすい環境になり、虫歯を作り出します。歯みがきをしてもすぐに「中性」には戻りません。一定の時間が経つと口の中は「中性」に戻りますが、食べる回数の多い人は「酸性」の時間が長いということになり、虫歯になる率が大幅に増えるのです。
よく聞く「フッ素」の本当の効能って知ってますか?
虫歯になってしまう大きな理由は、食べることによって出る「酸」が歯の表面を守っているエナメル質を溶かし、虫歯を発生させてしまうことです。フッ素を歯の表面に塗ることにより、歯の表面をガードする膜を作るわけです。定期的にフッ素を塗布することで、酸に溶けにくい強い歯に変わっていきます。
当医院ではスウェーデン王立イェテボリ大学の「イエテボリテクニック」によるフッ素ケアのご指導を行っています。
甘い食べ物とは上手につきあっていこう
ジュースやコーラ、アメやチョコレートなどのお菓子。歯に良くないとわかっていても、おいしくてやめられないものですよね。なら、食べ方を工夫してみましょう。「1日1回と決めて食べる」「食事の後にデザートとして食べる」「シュガーレスの物にする」など。 なによりいけないのは「気ままにだらだらと食べる」です。特にアメは長い時間口の中にあるので要注意です。
「寝酒」と虫歯の意外な関係って知ってますか?
寝る前にベッドでちょっと一杯。寝つきも良くなるし就寝前の習慣にしています。甘いジュースじゃないからいいよね? これはダメです。お酒には意外と糖が含まれているので虫歯の原因になります。お酒をこぼすと乾いてもベタベタしますよね?口の中も同じことです。寝る前の一杯は歯みがき前にしましょう。
予防歯科 ~治療中心から予防中心へ~
昔は歯が痛くなったら歯医者に行くのが当たり前でした。しかし、痛みが出てからでは歯を大きく削ることになり、悪い場合は歯を抜くことになります。早期発見・早期治療が必要なのです。
世界保健機関(WHO)の行なった虫歯になった率の調査では、スカンジナビア(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー)が世界中で圧倒的に低かったです。スカンジナビアが別に虫歯になりにくい地域、人種といったわけではありません。スカンジナビアは1970年に子供を対象とした長期公衆予防対策の研究をおこない、学術的に根拠のある正しい予防プログラムを確立したからです。
当医院ではスウェーデン方式の歯周病・虫歯予防を行なっています。
スカンジナビア方式の歯周病治療
世界における歯周病学は米国学派とスカンジナビア(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー)学派に分けられます。
米国では早くから歯周病専門の歯科医制度を導入しており各歯周病専門医が知識、技術を研き向上してきました。
米国は民族や宗教も複数ある国家で価値観もいろいろとことなり、また裁判も多いことから失敗が許されない風潮があります。そのため確実に治癒が予測できない歯はすべて抜く傾向にあります。
スカンジナビアの代表としてのスウェーデンは、米国よりも歴史は浅いのですが歯周病専門医がいます。しかし、米国とは異なり、専門医の仕事は診療だけではありません。スウェーデンは国を挙げての国民の健康管理を推進してきました。私的なものではなく公的な性質があるのです。そのためスカンジナビア学派は莫大なデーターをもとに歯周病のメカニズム、対治療方法を長期に渡り研究してきました。歯周病の原因の特定、歯周病の罹患率、歯周病と全身疾患の関連性、日々の歯ブラシの重要性、予防ケアの必要性などが次々に発見され今日の治療にいかされています。また、米国では歯周外科手術の方法を次々あみ出したことに対し、スカンジナビアでは感染を除去すればどの方法も結果は一緒であることを発見し、歯周病治療に1番重要なものが何であるかを証明しました。
スカンジナビアでは科学的な根拠(エビデンス:EBM)に基づいた治療を重要にしています。
米国学派とスカンジナビア学派はどちらが良いとか悪いと言うものではありません。両者はお互い交流をもって知識、手技の交換を行なって歯周病治療の発展に貢献しています。
日本では米国方式の歯周治療が一般的です。
岡本浩教授 PROF.HIROSHI OKAMOTO
岡本 浩教授は、日本に歯周病治療が確立されていない1973年に単身スウェーデン・イェテボリ大学のヤン・リンデ教授の下に留学されました。現在、岡本教授がイェテボリ大学で学ばれたことは日本に広がり、日本国民のお口の健康向上に大きく貢献しています。岡本教授が日本で行なった研究は優れており広く世界に知られています。特に1988年に出された研究(牛久スタディー)は世界に衝撃を与え、「世界の岡本」と賞賛されました。
今でこそよく耳にする「プラークコントロール」や「予防」といった言葉も岡本教授がいなければここまで一般化しなかったかもしれません。
宮尾歯科クリニックの院長は岡本教授のいる大学の歯周病学講座に所属し、長期に渡り治療方法、知識を学びました。
ヤン・リンデ教授 PROF.JAN LINDHE
1969年にリンデ教授はスウェーデンで初めて歯周病学を専門に行なう講座をイェテボリ大学につくり、32歳の若さで教授に就任されました。以来、それまで「治らない」とされていた歯周病についてさまざまな研究を行ない、次々と解明しました。
プラークコントロールの概念と重要性を基本とした新しい治療方法は、歯周病だけでなく虫歯にも効果がありました。効果の高い予防プログラムを確立し、スウェーデンを歯科予防先進国へと導き、世界中に注目されるようになりました。
岡本教授はスウェーデン・イェテボリ大学リンデ教授の初めての外国人留学生なのです。
スウェーデン王立イェテボリ大学(Göteborgs universitet)
スウェーデンの第2都市イェテボリにある大学で医学の高い教育と研究で有名です。歯科医学では、歯周病学とう蝕(虫歯)学の口の中の二大疾患の治療はもちろんのこと、その予防方法でも最先端です。今日広く世界で行われているインプラント治療もイェテボリ大学で発明されました。
イギリスの大学評価機構クアクアレリ・シモンズ社(QS)の世界大学ランキング2021年度版にて、イェテボリ大学は科目別歯学部門で1位にランクされています。